ある日突然降ってきたイヤな筋

ある日突然降ってきたイヤな筋

 

 若い頃からポチャポチャとした丸顔で、しわなんか気にしたことはなかった。自分はしわなんか出来ないと思っていたのだ。今考えるとばからしいけれど。その頃は脂性の方が自分にとっては大問題だった。そうそう、脂性は脂がのっているのだから、しわになりにくいと勝手に考えてもいた。無知と言うものは恐ろしい。
 ある時、本当に突然それはやってきた。鏡をのぞきこんだら、額の辺りに何やら見たことが無い筋が。
「しわ?!」
 そんなはずはない、もう一度、見る。やっぱり、そうだ。本当にショックだった。額にしわがよっているなんて、何だか意地悪なお婆さんのようで、表情までムスッとしてしまうではないか。まだしも目の辺りだったら、笑った時に優しい感じになるのに。しかし、友人に言わせると、
「額だったら髪の毛で隠せるからいいじゃない。目の下の方が老けて見えていや」
 ということになる。どうやら人によって「しわが寄っても許せる箇所」は異なるらしい。それとも、自分のしわがある場所が許せない箇所になるだけのことかもしれない。
 この頃はあの丸くてポチャッとした頬が何だか垂れ下がってきて、今度はこちらが問題になっている。飲めばしわが全て消える薬なんて出来ないかな。それとも、しわが出来るからいいこともあるのかな。一度出来たしわは消えないというけれど、何か方法が無いのかな。
 若い女性の美しい肌を横目で見ながら、まだまだしわとの格闘は続くのである。